
先日、複数の不動産・住宅案件のサムネイル画像を、同じ日にまとめて作ることになりました。1件だけならいつも通りの手順で進めるところですが、さすがに3件同時となると、勝手が違うのです。
1案件ずつ、腕を止めて考えていた頃
これまでの僕は、サムネイルを作るとき「まずこの1枚で決める」という進め方をしていました。構図を考え、配色を決め、文字を置き、完成形をひとつ作ってからクライアントに見せる。動画のサムネイルも、住宅の外観写真を使ったバナーも、基本的には同じやり方です。うまくいけばそれでいいのですが、1件ごとにこの工程を繰り返すと、案件が増えた瞬間に手が止まります。3件同時となると、単純に3倍の時間がかかる計算になるのです。
「候補案を複数出してから選ぶ」に切り替えた
そこで試したのが、1案件につき最初から複数パターンの候補画像を自動生成してしまう、というやり方でした。candidate_01、candidate_02、candidate_03……というふうに連番で複数の候補を一気に出力し、そのあとで良いものを選ぶ。作る工程と選ぶ工程を、はっきり分けてしまうのです。
やってみて驚いたのは、手を動かす時間そのものはほとんど変わらないのに、迷う時間が大きく減ったことでした。1案件ずつ「これで完成」と決め打ちしていたときは、実は毎回どこかで「本当にこの構図でいいのか」と立ち止まっていたのです。候補が複数あると、その迷いは「選ぶ作業」の中に吸収されてしまいます。これは地味だけど、けっこう大きな違いでした。
映像制作の現場感覚と、実はよく似ている
考えてみれば、これは動画や写真の撮影現場でずっとやってきたことと同じなんですよね。1カットだけ狙って撮る現場は少なくて、実際には同じシーンを何パターンも撮っておいて、編集の段階で一番いいものを選ぶ。ロケでもスタジオでも、撮る瞬間には「これが正解」と決め打ちしすぎず、選択肢を残しておく。そのほうが、あとから見返したときの完成度が高くなることを、現場で何度も経験してきました。
サムネイル制作でも、発想は同じだったのです。生成AIを使えば、1案件につき複数パターンの候補を出す手間そのものが、ほとんどかからなくなります。だったら、人の判断力は「作る」ではなく「選ぶ」に使ったほうがいい。これは効率化というより、プロとしての力の使いどころを変える話だと思っています。
候補があると、クライアントとの会話も速くなる
候補案から選ぶ運用に変えてから、もうひとつ良いなと思っていることがあります。それは、見せ方そのものが変わったということです。1枚だけ「これでどうですか」と出すより、方向性の違う候補を並べて「この中だとどれが近いですか」と聞くほうが、話が早い気がしています。好みや温度感のすり合わせが、細かい修正のやり取りではなく、選ぶという一回の会話で進みやすくなる。これも、候補を複数出しておくからこそ生まれる副産物だと感じています。
複数案件を並行して進めるときこそ効く
特にありがたみを感じたのは、案件が複数重なったときでした。1件ずつ順番に「完成」を目指していたら間に合わなかったかもしれない日も、候補生成から選定へと流れを変えたことで、3件を同じ日のうちに形にできたのです。それぞれの案件で候補画像をひとまとめに出しておき、あとの時間で見比べながら選ぶ。作業の順番を「作る、作る、作る」から「出す、出す、出す、選ぶ、選ぶ、選ぶ」に変えただけで、案件をまたいだ並行作業がぐっとやりやすくなりました。
生成AI活用というと、つい「作業を丸ごと自動化する」ことをイメージしがちですが、僕の現場での実感は少し違います。作る部分をAIに任せて、選ぶ部分に人の目と経験を残す。そのバランスを見つけられたときに、初めて現場で使える運用になるのだと思います。これからも、こうした小さな工夫を積み重ねながら、映像制作とAI活用の両方を現場目線でアップデートしていきたいです。ご相談はお問い合わせからお気軽にどうぞ。
