
自動車関連の比較動画を作ってほしいというご依頼をいただいたとき、最初に浮かんだのは「出演者をどう手配するか」という問題でした。車やタイヤの違いを画面の前でわかりやすく語ってもらう役が必要で、通常であればスタジオを押さえて出演者に来ていただき、原稿を読んでもらいながら撮影を重ねることになります。ただ今回は、そのパートをAIアバター動画生成に置き換えて制作することにしました。実際にやってみてわかった手応えと、逆に向かないと感じた部分を、現場の記録としてまとめておきます。
出演者撮影の代わりにアバターを選んだ理由
比較動画は、商品の型番や仕様を正確に読み上げながら、画面に映るカットと呼吸を合わせて話す必要があります。台本の修正が入るたびに出演者のスケジュールを再度押さえ直すのは、双方にとって負担が大きい作業です。今回はアバター動画生成に切り替え、台本の変更が入ってもテキストを差し替えて再生成するだけで対応できるようにしました。撮影のために場所や時間を確保する必要がなく、修正のたびに出演者へ再度お願いする手間も発生しません。
実際の制作フロー
まず比較する車種やタイヤの写真を、正面・側面・装着した状態など複数アングルで用意します。次にアバターの見た目と声のトーンを設定し、比較ポイントを整理した台本をもとにナレーション動画を生成します。生成された動画はそのままでは比較映像として完結しないので、Premiere Proに読み込み、商品写真やカット割りと組み合わせながら編集していきます。冒頭の導入パート、比較の本編、最後にまとめるクロージングパートと、パートごとに分けて生成しておくと、後からの差し替えが楽になることもわかりました。
AIアバターが向いていると感じた場面
やってみて特に相性が良いと感じたのは、スペックや仕様の説明のように、話す内容が構造化されている場面です。「何がどう違うのか」を淡々と整理して伝えるパートは、アバターでも十分に伝わりますし、言い間違いや聞き取りにくさがない分、情報が正確に届きます。また、動画の冒頭の挨拶や締めくくりのまとめのような、繰り返し使う定型パートもアバターに向いています。同じ構成で別バージョンを作る比較動画のシリーズものでは、この特性が特に効いてきます。
AIアバターが向いていないと感じた場面
一方で、実際に手で触れた質感や、乗ってみた時の体感のような、その場でしか得られない感覚を伝えるパートは、アバターだけでは物足りなさが残りました。「握った瞬間の重さ」「路面を踏んだときの安心感」といった感覚的な情報は、実写で人が語る空気感があってこそ説得力を持つのだと、編集しながら改めて感じました。今回はその部分を実写の商品カットと組み合わせることで補いましたが、体験そのものを語る場面では、やはり実写の出演者に分があると思います。
使い分けの判断軸
今回の制作を通じて見えてきたのは、「情報を正確に届ける」パートはアバターに任せ、「体験や感覚を伝える」パートは実写で補うという役割分担です。すべてをアバターに置き換えるのではなく、比較動画の中で語りの性質ごとに手法を選ぶことで、制作のスピードを上げながら伝わる部分は落とさずに仕上げられると感じています。今後もこうした比較動画の案件では、内容に応じてアバターと実写を組み合わせる形を基本にしていくつもりです。
比較動画の出演者撮影に時間や調整の負担を感じている方は、AIアバターを取り入れることで制作のスピードを上げられるかもしれません。ご興味があれば、ご相談はお問い合わせからお気軽にどうぞ。
